税理士・東京女子大学評議員
中野区上鷺宮5丁目町会会長

1965年 文理学部社会学科卒業

 

 

税理士をしております。

税制はその国の形を作るものです。そしてその国の未来の方向も決定していくものです。今年も国会で100兆円をこえた国の予算が決定されました。そして私はこの国の経済活動の一隅に身を置いて相続税の申告・法人の決算・個人の確定申告の税理士業務をして35年が過ぎました。

私たちが大学を卒業したのはオリンピックの次の年でした。当時は大学へ進学するのは6% 程であの白亜の本館に刻まれている「おおよそ真なるもの」、そして校舎の窓から見えるゆりの木・プラタナスのさわさわなる葉ずれの音を聞きながらの授業は、選ばれた人だけのものだった時代でした。そして卒業です。

進学校の同級生だった男子は高度経済成長の企業戦士とした戦場に赴いて「24時間戦えますかの」のコマーシャルを実践していました。私どもは2-3年の会社勤めの経験ののち納得いかなくても普通の専業主婦になっていきました。

それから20年、バブル崩壊の前42歳で税理士の資格を取りました。この資格を手にしたときは、活動的な面白そうな世界へ続く扉の「黄金の鍵」を手に入れたと思いました。自分の中に冬眠していたリベラルアーツ教育の芽がようやく陽が当たり生き生き伸びていくのがわかりました。

「元気に働いて税金を払おう」これから活躍する卒業生の皆さんへ贈る言葉です。実務家としての実感を込めた言葉です。女性が生き生きと自己実現して生きるためにはまず精神的な自立、そしてそれを可能にする経済的自立が必要です。

戦後民法では「夫婦別産制」(財産はそれぞれのもの)、「個人単位課税」という確実な原則があるにも関わらず、70年たついまも妻は働かないものと考えています。税金を払わない程度に働けばいいという本当に失礼な税法になっています。ジェンダーギャップの順位が非常に低いのは、女性の働き方を税法から規制しているのが大きな原因でしょう。まずは、「働き方改革・女性が輝く社会」の追い風に乗って無理の無いよう働きましょう。そして立派な納税者になるのを待っています。