株式会社OMOYA代表取締役
女子未来大学ファウンダー

 

2007年 文理学部心理学科卒

 

 

私は現在、株式会社OMOYAという経営コンサルティングや企画マーケティング、そして女性活躍推進やダイバーシティマネジメント、女性の起業・創業の支援などを行う会社を経営しています。また、4年前に「女子未来大学」という事業を立ち上げ、日本全国の女性たちが集まる学びの機会とコミュニティを運営しています。価値観や女性のライフスタイルが多様化し、時代の変化のスピードが大きい中で、人生の選択や自分なりの幸福について葛藤や迷いを抱いている女性たちに多く出会います。

私にとって人生の一番大きな転機は、在学中に一生涯かけて成し遂げていきたい自分の使命を見つけたことでした。
幼い頃から「人の心」に興味があり、高校時代に心理学を学ぼうと決めました。リベラル・アーツ教育を大切にし、また少人数で深く学ぶことができることが東京女子大学を選んだ理由です。入学当時は臨床心理士になりたいと思っていましたが、4年間の学びを経て「自信がない」「自分のことが好きになれない」という生きづらさに対する葛藤を抱える女性たちが多くいることを知り、「女性が自由に豊かに生きられる社会をつくる」ことが自分の人生をかけた使命だと感じるようになりました。

卒業式の日に、本館に刻まれている「QUAECUNQUE SUNT VERA」(すべて真実なこと)という文字を見て、涙したことを覚えています。「兄弟たちよ。すべて真実なこと、すべて尊ぶべきこと、すべて正しいこと、すべて純真なこと、すべて愛すべきこと、すべてほまれあること、また徳といわれるもの、称賛に値するものがあれば、それらのものを心にとめなさい。」(フィリピの信徒への手紙の4章8節)この言葉が、東京女子大で学んだ精神を、そしてここで経験させていただいたたくさんの学びを表しているなと思い、感謝の気持ちが溢れ、私の心に刻まれた瞬間でもありました。

東京女子大学の『広い識見と創造性を有する「専門性を持つ教養人」を育てる』というリベラル・アーツ教育の恩恵を強く感じたのは社会人になってからの方が多かったように思います。人の想いや社会の問題は、様々な要因が複雑に絡まりあっています。一つの専門性だけで問題を突破できない場合、多様な視点や知識、そしてその全体性を考えて、答えのない問題に向き合う姿勢は、リベラル・アーツ教育の中で学んだと感じています。

その姿勢は今の私の働き方にも影響を与えています。現在私は5つの会社の経営に携わらせて頂いています。関わっている企業やプロジェクトの課題は異なりますが、やりたいことはすべて共通しています。それは、「本当は可能性があるのに水面下に埋もれてしまっているものを引っ張り出して、社会に伝えていきたい」ということ。

例えば、女性たちの可能性を信じて彼女たちの力を引き出すこともその一つです。昔のルールや何かの限界に縛られて可能性を発揮できない人や組織の力を引き出し、社会に還元することで変革を生み出すための活動を、自分の仕事におけるテーマとしています。

在籍していたバレエサークル  「Nina.A.Ballet」の発表会にて

創立100周年を迎え、素晴らしい精神と教育によって、女性たちがそれぞれの場で活躍していることを、同窓としてとても誇りに思います。この歴史と文化の中で培われた教育のあり方はこれからの未来においても大切な財産です。これからの100年は今以上に大きな変革の時代になると感じていますが、「人間らしく、豊かに自由に生きながら、社会に貢献していく」というとても大切なことを学ばせて頂いた東京女子大学が、より大きな役割を担いながら発展されていくことを心からお祈りしております。