第一生命保険株式会社課長補佐
現在、資産管理サービス信託銀行
株式会社に出向
インベスターズサービス部調査役

 

2001年 文理学部数理学科卒 

 

東京女子大生と「Service and Sacrifice」

 

 まずはじめに、この記念すべき東京女子大学の創立100周年を心よりお慶び申し上げます。

 建学の精神のもと集まった友人たちは不思議と、自立心が強く、真面目で努力家、といった気質をもった人が多いような気がしており、今でも互いのライフステージの変化を喜びあったり時には励まし合ったりしながら、楽しい交友が続いています。また、偶然にも私の義母が先輩OGだったりと、私の人生と東京女子大学の縁はなかなか深いもののようです。

 ところで、私にとって、東京女子大学の精神をわかりやすく伝える次の言葉は、東京女子大学への入学を志した時から現在に至るまで、原点となってきました。

「Service and Sacrifice」。ゴロも良く、覚えやすいこのフレーズを校章に決めたのが「武士道」の著者である新渡戸稲造であったことは、私たちにとって、とても誇らしいことですよね。

 今回、たくさんの尊敬すべき諸先輩、素晴らしい卒業生たちの中から選出され、このメッセージをお届けする幸運を授かったことに恐縮しながらも、現役のワーキングマザーである私の立場から、東京女子大学ゆかりの皆さまに、この場をお借りして伝えたいと思うことが一つあります。

 建学の精神のもとに、と冒頭に申し上げましたが、新渡戸稲造と安井てつの出会いから誕生した教育理念は、世紀を超えて、東京女子大学の過去と未来をつないでいるキーになっているように思えるのです。

 さて、日本における高齢化の進展や労働力人口の減少はもとより、貿易や資本移動を背景とする国際的な潮流、近年はこうしたファクターが企業の活動にも大きな変化をもたらしていると実感しています。そして、そのような社会では、多くの企業にとって、急成長とその持続は見通し難い環境となり、むしろじっくりと大地に根をはるかのように、ステークホルダーとの共存共栄を意識しながら内部の成長を促す方向に向かって、舵を切ることになろうかと思います。

 私見ですが、そのように他者との関係性の中から自己の成長機会を見出すような営みにおいては、「Service and Sacrifice」から始まる発想というのがまさに重要な手がかりとなるのではないか、と思われるのです。

 東京女子大学では少人数教育を通じたていねいな指導のもと、専門的で幅広い見識を身に付けてきた私たちですが、その力をどのように役立てるか、どのように発展させるか、そのアイディアが「Service and Sacrifice」を源流とすること、そしてそれが今後においても、東京女子大生の個性として語り継がれていくことを、心から願っております。