会議通訳者

1998年
現代文化学部言語文化学科卒

 

 

  1. 今現在取り組んでいること

会議通訳・翻訳の仕事に加え、シミックグループPR誌「C-PRESS」で『ことばのおもてなし』、GMP Platformで『通訳あるあるネタ』という連載記事を執筆しています。通訳の仕事を通して出会う素晴らしい人々や、2つの言語や文化の橋渡しをする中で気づいたことを、今後も発信していきたいと思います。

 

2.入学のきっかけ

カナダの高校を卒業後、日本の高校も卒業したいと高3に復学しましたが、その時の担任の先生(英語科)が東京女子大学の卒業生でした。素敵な先生の母校で学べることと、翻訳ゼミに魅力を感じて、入学しました。

 

  3.大学時代の思い出に残っていること

翻訳ゼミと卒論です。3年次は小林祐子先生、4年次は北條文緒先生にご指導頂きました。3年次はかなりの分量の翻訳課題が毎週出ました。グループで1つの翻訳を仕上げるため、牟礼学生会館の私の部屋に毎週集まって作業をしていました。それぞれが仕上げた翻訳を持ち寄り、皆で議論をしたり辞書で調べたりする時間がとても楽しかったです。卒業論文はマヤ・アンジェロウの “The Heart of a Woman”の翻訳でした。作品に登場するジャズ歌手のBillie Holidayにのめり込み、彼女の音楽を聴きながらウイスキーを片手に進めた卒論が学科首席となったのが良い思い出です。

 

4.大学時代に学んだことが今にどう活かされているか

祐子先生も北條先生もいわゆる「英文和訳」を許さなかったので、コウビルド英英辞典を頻繁に引いて、それぞれの単語や語句の意味をイメージでつかんで、そのイメージにぴったりの日本語訳を考える訓練をたくさんしました。その作業が、同時通訳をする際に活かされています。Source Language (元の言語)を聞いて、メッセージの内容を頭に思い浮かべ、その内容をTarget Language (訳出する言語)で話すというプロセシングをすることで訳出の不自然さがなくなり、「今日は同時通訳ではなく、あなたのお話を聞いているようでした」とお客様に言われたのは、本当にうれしかったです。

 

5.現役学生へのメッセージ

私は在学中にNHKの放送通訳養成所に通い、通訳訓練を受けました。また、展示会&商談通訳、長野オリンピックORTO’98(五輪放送機構)での放送通訳を通じて現場のスピード感を体得しました。大学の卒論はマヤ・アンジェロウという黒人女性作家の自叙伝を一年かけて翻訳し、原作に向き合い、作者の経験や感情にシンクロし、訳語を紡ぎ出す作業をしました。それは、瞬発力が勝負の同時通訳ではなかなか出来ない経験でした。こうして振り返ると、時間がたっぷりある学生時代にダブルスクールと実務経験ができたことは、とても幸せだったと思います。

 

6.東京女子大学次の100年へのメッセージ

東京女子大で過ごした日々は、学びと祈り、素晴らしい仲間や先生方との出会いにあふれていました。過去100年に渡って高い志を持つ女子の学び舎であった母校が、これからの100年もより一層その存在価値が高まっていくように願っています。