Ricoh USA, Inc. 
環境サステナビリティと
  製品コンプライアンス アナリスト

 

2000年 英米文学科米文学専攻卒

 

 

 在学中の米国留学一年の間に、大学院で米文学を研究していく意欲が満々となり、津田塾大学とニュージャージー州立ラトガース大学で研究をまっしぐらに続けました。その私が現在は、環境・健康・安全に関する製品コンプライアンスと企業の社会貢献活動の二本柱で、サステナビリティを推進する仕事をすることになり、人生は分からないものです。気候変動や製品含有化学物質や生物多様性保全など、理系の専門性も必要となる仕事ですが、女子大で培った「ものを見る力と伝える力」のチャレンジがいつも伴います。

 今となって分かることは、約二十年も前に、社会の価値観を覆す潜在性を読み解く力を養う文学講義があったことです。例えば、シェイクスピアが作品に散りばめた真実は、社会で底辺に置かれる墓掘や乳母などによって語られるトリックや、ロミオではなくジュリエットがいかに男性的な役割を遂行しているかと読めるなど、価値観への挑戦を作品から読み取りました。白人男性主流に入らない、周辺に置かれた米作家の作品から、多様な文化と価値観がせめぎ合う米国史の裏側を考察し、ものを見る力を養いました。
 世界中で、構築された価値観にチャレンジする力が試されている時代です。先日、イエール大学の女子学生が、男子学生だけ入れるフラタニティーに疑問を呈しました。プリンストン大学の大学バスケットボールの試合では、男子学生が女子学生に交じってチアリーダーに入っているのを目にしました。ものを違った角度から見る力は、現代社会に通じる「およそ真なること」を求めることなのかと思います。

 そしてもう一つ、インパクトがあって心に残る言葉で伝える力が大切です。Eメールより簡略なテキスト、絵表示、動画が表現方法に多様性を加えている現代、言葉で的確に伝える力が益々重要である気がします。ビジュアル情報を最終的に正確に伝えるのは言葉です。先生方のメッセージが数十年経っても生きているのは、時として必要な勇気や決断を伴った新しい視野を提示してくれたからです。歴史的にも現在にも、自分の信じる考えを発信する力の核には、「犠牲と奉仕の精神」があるのではないでしょうか。

 最後に、ものごとは機が熟すまでに長い年月を要することがあります。ですので、大切なことは、いつも自分が大切に思うことをたゆまなく見つめる力と、心より伝える力を付けるようにすることかなと思います。私にとってのチャレンジは、地球規模でのサステナビリティを求め続け、それを伝え続けることです。