(有)ワイワイネット 代表


1978年
短期大学部教養学科卒業(旧姓 有川)

 

 

開学100周年という記念すべき機会にこうして寄稿させていただけることを嬉しく思います。
私は、今はない牟礼キャンパスの短期大学部の出身ですが、昨年ご縁をいただきエンパワメント・センターでお話をさせていただきました。

実は、当時編入試験の準備をしていたのですが、家庭の事情で断念したという経緯があります。それだけに、卒業後しばらくは片思いの相手のような気持ちでいたのです。40年ぶりに訪れた善福寺キャンパスは変わらない美しさと気品を備えていて、当時のことが鮮明に蘇ってきました。

 

東短の出身者は就職でも引く手あまたでしたが、私は、自分が何者で何をしたいのかわからないまま就職することに疑問を感じ、大手企業に就職を決めていく友人を尻目に、大学に編入する代わりに2年間のモラトリアム期間を選んだのです。

卒業後広告代理店でアルバイトをしながら、英語の学校に通ったりしていましたが、社会に出て働くことの楽しさを知り、中途採用で小学館に入社しました。その後、出産で退職してからは働き方にこだわって、子育てをしながら登録スタッフ制の企画編集会社を立ち上げ、「お母さんと子どもの笑顔のために」というコンセプトで本作りをしてきました。

今は教育ジャーナリストとして執筆活動をする傍ら、人材育成のプロジェクトである子育てをしている女性が、自らの人生をデザインする力を身につけてほしいという思いから、「マザークエスト」という団体を立ち上げて活動をしています。今回短大時代を振り返り、山本英治先生の社会学のゼミでのフィールドワークが蘇ってきました。今の仕事の原点はこのゼミとの出会いだったかもしれないと思い至りました。

 

探求するお母さんの学び場、マザークエスト

 

今年還暦を迎え、これまでの人生を振り返ると、何もない原野を一歩一歩進んで、振り返れば細い道が出来ていたという感じです。

今は女性活用が叫ばれていますが、エンパワメント・センターでお話させていただいた時、子育てや介護といったライフイベントにキャリアが左右されることに不安を持っている後輩たちがいました。しかし、一見凹んでいるように感じる時でも、自分は自分の人生の主人公であるという気持ちを忘れずにいれば、その経験を糧にして、次のステップにつなげることができます。幸福学の因子の一つは前向きと楽観です。ぜひ何事にも前向きに取り組んでほしいと思います。

 

人生の折り返し点を過ぎた今、関心はコミュニティデザインやウエルビーイングといった領域に広がり、もう一度しっかりと学びたいという気持ちも強くなってきました。20歳の時に諦めた進学にチャレンジしてみようかな・・・。
最後に、次の100年に向かって、ぜひ多くの女性をエンパワーする学び舎であり続けてほしいと願っています。